由奈です。
達也くんの心は少しずつ変わってきました。
私が時間をかけて尽くした努力が、少しずつ実ってきたのです。
達也くんの態度が変わっていくのが、手に取るように分かりました。
勿論、愛情もあったのでその期間は本当に幸せでした。
純粋に「私の事好きでいてくれてるなぁ」というのを実感しました。
バンドメンバーから知った事実
ある日達也くんのバンドメンバーと飲みに行ったことがありました。
その時、一人のメンバーからこう聞かれました。
「達也の何がいいの~?こいつ、人として終わってるよ?」
と言われました。
私は笑ってごまかしましたが、何を伝えたいかは大体分かっていました。
顔は笑っていましたが、やはりメンバーは
「絵里のことを知ってるんだ」と思い、
不安に駆られて達也くんのいない時にもう一度聞いてみたのです。
「さっきの話だけど…他に女がいるとかってこと…?」
「え、あぁ。俺はあいつのプライベートそんなに知らないけど、由奈が来ないライブの時は、別の女の子連れてきてるよ。
なんか地味そうな子。
ただの友達かもしれないけど」
「あ、そうなんだ…」
「まぁ、俺たちは欠陥人間たちの集まりみたいなところあるから、気をつけろよ~w」
覚悟はしていたけど、直接聞くとやっぱり辛い。
私がライブに行けない時、もしくはライブがあってもわざと誘ってない時もあったのかもしれない。
絵里が来るときは。
そう思うと、虚しさしかなかった。
年齢的な心の変化
しかしその頃、私の心も大きく変化してる時でした。
周りが結婚し始め、ようやく私にも結婚願望が出てきたのです。
もし達也くんとこのまま付き合って結婚したら…と想像した時、将来が全く思い描けませんでした。
今、私たちはうまくいってるように見えるけど、裏ではまだ絵里と繋がっている。
私にも絵里にも、嘘をつき続けているような男。
フリーターで売れるか売れないかもわからないバンドマン。
間違いなくお金に苦労する。今ですらしてるのに。
自分の思い描く家庭像とはあまりにもかけ離れていました。
私は結婚を真剣に考えたことがなく、場当たり的に今までやってきました。
やっとその現実に気が付いたのです。
そう思うと「この人ではいけない」と思うようになりました。
達也くんとの関係を続けてはいましたが、結婚相手を探そうと動こうともしていました。
そうすると不思議なものですよね。
男性は、逃げると追ってくるのです。追えば逃げるのに。
私の気持ちを見抜いてるのかわかりませんが、前よりも達也くんの好きアピールが強くなりました。
立場が逆転してきたのです。
私は
「もうそろそろかな」
と思い始めていました。
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